マッテオ・モッテルリーニ『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学』

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

 タイトルに経済と入ってはいるが、あまり経済には限定されていない。かといって散漫というわけでもなく、かえって人間の認知の偏り全般についての本としてうまくまとまっているように思える。特にこれといって新しい話はないが、この分野に興味を持つきっかけとしていいかもしれない。かなりおすすめ。

おすすめ類書

脳のなかの倫理―脳倫理学序説
マイケル・S. ガザニガ
紀伊國屋書店
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恐怖―心の闇に棲む幽霊
ラッシュ,Jr. ドージア
角川春樹事務所
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数学者が新聞を読むと
ジョン・A. パウロス
飛鳥新社
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おまけ

 今やWiiでSFCソフトがダウンロード販売されてる時代。

シャロン・モアレム ジョナサン・プリンス『迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか』

迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか

 病気と進化の関係というのは比較的新しくかつ面白い、ホットな話題の1つ。これとかも面白いしね。この本も面白いんだけど、1章のへモクロマトーシスについての話で、

 そもそも瀉血という行為が世界中で何千年も続けられてきたという事実は、この行為に何らかのプラス効果があるということを示している。瀉血療法を受けた人が皆、死んでいたら、こんな治療法はあっというまに姿を消していたにちがいないからだ。

 ひとつだけ確かなことは、現代医学がいったんは見捨てた昔ながらの慣行は、それ以外の治療法では救えない人びとの命を救うのに役立っているということだ。現状の医学は理解していることより理解していないことのほうが多い。そのことをしっかり肝に銘じておくべきだろう。

 とかいう文章を見て「なんか危なっかしいなー」と危惧していた。たとえへモクロマトーシスに関しては正しくても、これは似非医療ビリーバーのテンプレ的な思考パターンだから。そしたら、最後の6章まで来てやっぱりm9(^Д^)プギャーッこいつアクア説信じてやがる。

 おまけに「老化のプログラミングは個体ではなく種にとって有益だったのだろう」とか、いつの時代の説だよ。面白い本であることは確かだけど、すでに自分である程度取捨選択できる人にしかお薦めできん。少なくとも括弧内の何がおかしいかわからない人には危険と思う。

参考リンク

おまけ

 アクア説→人類の祖先はカッパだったの?→河童

2人で世界を征服する方法

ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?

  1. まず誰か1人でいいので、自分と意を同じくするか、自分の言いなりになる人間を連れてくる。*1
  2. その2人を含む3人で、多数決で全てを決する1つ目の秘密結社を作る。
  3. その3人を含む5人で、多数決で全てを決する2つ目の秘密結社を作る。
  4. その5人を含む9人で、多数決で全てを決する3つ目の秘密結社を作る。
  5. n番目の秘密結社は2^n+1人を支配できる。

 世界の総人口はいまちょっとググったところでは約67億人。

2^10 = 1024 ≒ 10^3
2^33 ≒ 8*10^9 > 67*10^8

 だから、33段階の秘密結社を通じて全人類を支配することができる。めでたしめでたし……という話が何の役に立つだろうか?

 世界で最も大きな組織には何段階の階級が存在するでしょうか?

 というフェルミ推定の問題が出されたときに役に立つかも知れない。実際には全人類は1つの組織に統一されていないし、各階層が単純多数決というもっとも効率が悪い*2と思われる意志決定方法であってこの数なので、現実の組織に必要な階層数はこの推計よりかなり少ないと思ってよいだろう。

 たとえばアメリカ合衆国大統領からイラクのどこかで哨戒中の二等兵に何か命令を伝える必要が生じたとする*3。途中で何回命令を受け渡す必要があるだろうか? 直接つまり1ということはなさそうだというのは常識でわかるが、上限について何か推定できることがあるだろうか。ここで33より多くなることは絶対にありえないと断言してよさそうである。

 答え合わせにちょっとググってみる。概ね妥当と言ってよさそうである。

*1:ここがクリアできない人は世界征服などという大それた野望は諦めよう!
*2:全構成員数に占める意志決定に必要な人数の割合が多いという意味で。社会的政治的な価値とはなんの関係もない。
*3:実在する巨大組織の例として最初に思いついたのが米軍だっただけなので自衛隊でも人民解放軍でもマイクロソフトでも好きなように置き換えてもらって構わない。

おまけ

スティーヴン J.グールド『人間の測りまちがい』が文庫版になっている

人間の測りまちがい 下―差別の科学史 (3) (河出文庫 ク 8-2)

人間の測りまちがい 上―差別の科学史 (1) (河出文庫 ク 8-1)

 RUMさんのコメントで知りました。今までネット上ではほぼ入手不可で、図書館で借りるか古本屋で探すしか読む方法がなかったので、以前から復刊を願っていましたが、実現した形で非常に喜ばしいです。ぜひこの機会に読んで下さい。

おまけ

公理の話

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

数学に関する質問です。なぜ一度正しいと証明された定理が覆されることがないのか? ということが理解できません。 「あらゆる科学理論は本質的には仮説であって真理ではあ.. - 人力検索はてな

へのはてなブックマークに対して、

では、公理そのものの妥当性は何がどう担保しているわけですか? - BLOG15の日記

では聞きますが数学の演繹の出発点の公理系そのものの妥当性、正当性は何によってどう担保されているのでしょうか? 本質的に間主観性としての、つまり主観の寄せ集めの仮決めでしかないと思いますが。

 という質問が来たので、ちょうどいい機会だから公理について書いてみる。もともとの質問への回答でだいたい言い尽くされているような気もするが。

 数学の演繹の出発点の公理系そのものの妥当性、正当性は何によってどう担保されているのでしょうか?

 何によってもどうやっても担保されてなどいません。妥当性を担保されているものは公理ではありません。定理です。定理の妥当性を担保するのは公理です。で、じゃあ公理って何なんだということになるわけですが、

 本質的に間主観性としての、つまり主観の寄せ集めの仮決めでしかないと思いますが。

 その通りです。公理っていうのは主観であろうが何であろうが根拠のない仮決めなのです。もし根拠があったらそれは公理ではなく定理で、その根拠の方が公理です。

 なんでそうなのかというと、もし公理に根拠がなければいけないとすると、その根拠の根拠はなんだ? という疑問がただちに生じて、根拠の根拠の根拠の……(∞)……という無限退行に陥って、いつまで経っても何も言えなくなります。

 それでは何も面白くないので、根拠なしにある一連のことを勝手に正しいと決めて「公理」と呼ぶことに決めるのです。以降は仮想問答。

 勝手に正しいと決めるって……それでいいの?

 それでいいんです。

 だって勝手に決めたらそれが妥当かどうかわからないじゃん。

 と思うでしょうけど、公理には妥当も不当もありません(自己矛盾している場合以外)。たとえば「全ての数は0に等しい」というような公理を持つ公理系を作ることは可能です。その公理系が“普通の”数学の公理系に比べてどっちが妥当だとか妥当でないとかいうことはありません。

 んなアホな。どんな公理も等しく妥当だっていうならどれも無意味って事になるじゃん。

 そうじゃありません。公理系の価値は、そこから導きうる様々な定理や結論が豊かで興味深いかどうか、あるいは現実に応用可能か、平たく言えば面白いかどうかで決まります。「全ての数は0に等しい」というような公理系は何もかもが自明で面白くないから誰も研究しないし話題にしないだけのことです。

 要するに公理はゲームのルールみたいなものです。「オセロはどうして自分の色が多いと勝ちなの?」という問いは馬鹿げてます。「作者がルールをそう決めたから。」以上の答えはありません。

 「色の少ない方が勝ち。」とか「コマを指ではじいて回転させ、倒れたときに上になっている色を言い当てた方の勝ち。」とかいうルールを勝手に決めても別に悪いことはありません。そのルールが元のルールと比べて妥当であるとか妥当でないとか決める絶対の基準が宇宙のどこかにあるわけではありません。単にそれはオセロではなく、たぶんそんなに面白くないというだけのことです。

おまけ

イアン・エアーズ『その数学が戦略を決める』

その数学が戦略を決める

書評 「その数学が戦略を決める」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

 最近巡回先に入った上のブログで見て面白そうだったので思わず買ってしまった。内容の説明はリンク先に詳しいので繰り返さないが、かなり面白かった。もしかしたら(もしかしなくても)私もamazonに統計的に分析されてカモと見られているかもしれんな。

 この本とはまったく関係はないが、リンク先のサイトの『神は妄想である』読書記はかなり充実しているので、興味があってもまだ読んでいない人にはぜひおすすめ。

読書開始 「The God Delusion」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

おまけ

ジョナサン・マークス『98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学』

98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学

 『人間の測りまちがい』の最新分野版とでも言うべき本。チンパンジーのDNAは人間と98%同じなのだから云々、というような主張は一度ぐらい聞いたことがあると思うが、いったいそれはどういう意味なのか?

 現代科学ではDNAのわずかな違いが生物にどういう影響をもたらしているかということは、まだまだ研究が始まったばかり。この98%というのは単に、ある塩基配列をそのまま比較しただけの数字にすぎない。高校でDNAについて習ったことがあれば少し考えるだけでわかる話だが、どんな生物と比較しても配列に登場する塩基が四文字しか存在しない以上、(意図的に一致しない部分を比較対象に選んだりしない限り)この数字が25%を下回ることはありえないわけだ*1

 「我々は98%チンパンジーである。」という発言に何らかの意味があると考えたいならば、「我々は25%パンジーである」という発言にも全く同じだけの意味があると考えなければならない。もちろんシーモンキーでもイソギンチャクでもフクロムシでも同じだ。もしそうではないというのなら、その発言者は、自分自身でも何を意味しているのかわからない怪しげな数字を用いて、自分の考えを「科学的」に見せたがっているだけだということだ。

 このような話を皮切りに現代人類学の誤用と通俗遺伝学に関する話題がいっぱい。優生学はまだ死んでない。なかなかよい本。かなりおすすめです。

*1:実際にはどの生物間にも類縁はあるので、もっと一致は多くなる。

おまけ

 100%チンパンジー(ボノボかも)。

ジェームズ・ローレンス パウエル『白亜紀に夜がくる―恐竜の絶滅と現代地質学』

白亜紀に夜がくる―恐竜の絶滅と現代地質学

 恐竜の絶滅が隕石衝突によるものだというのは今日時点ではほぼ定説だが、少なくとも私の子供の頃はそうではなかった。出てきたのも受け入れられたのも比較的最近の話だ。

 受け入れられたとは言ってもその道は必ずしも平坦ではなかった。地質学と進化論はそれぞれノアの大洪水天地創造という聖書のドグマと戦うことで始まったようなものであるという出自のせいもあって、(神の介入のような)偶然で突発的な大事件による説明を否定し、全てを過去も現在も同じように続いているちょっとした変化の、膨大な時間による積み重ねによってのみ説明するように強く条件づけられてきた。

 隕石衝突というのはこれ以上考えられないぐらいの偶然の突発的な大事件である。恐竜の絶滅を説明するのに隕石を持ち出すことは、一部の学者には、ほとんど科学を放棄して聖書に逆戻りするかのようなとんでもない説と思われ、激しい反発を受けたのである。しかし証拠は衝突説を支持し、地質学や進化にも偶然による突発的事件が影響を及ぼすことがありうるという考え方が取り入れられたのだ。

 多少翻訳がぎこちないというか不自然なところがあるのが気になったが、おすすめである。こちらも参照。

松岡正剛の千夜千冊『白亜紀に夜がくる』ジェームズ・パウエル

おまけ

 ちなみに衝突の原因はテニス。

ジョン・D・バロウ『宇宙の定数』

宇宙の定数

 物理定数を主軸にすえた本。分野は『宇宙のランドスケープ』に近いが、過去の歴史も面白い。まだしっかり確立している話ではないようだけど、実際に微細構造定数が変わっていることを示唆する具体的な観測があるというのは初めて知ったかな。かなりおすすめ。ジョン・D・バロウの本はどれも面白い。

おまけ

 変わるものと変わらぬもの。

フリーマン・ダイソン『多様化世界―生命と技術と政治』

多様化世界―生命と技術と政治

 『ガイアの素顔』をきっかけにフリーマン・ダイソンを読み直していたのだが、何年かぶりに読み返したこの『多様化世界』はやはりすごい。ソ連崩壊などで古くなった部分はもちろんあるが、少々の古さなどものともさせないパワーがある(もっとも初めて読んだときにもすでにソ連は崩壊してたが)。

 私の価値観形成にもかなり影響を与えている重要な本で、今後何かの機会に引用したくなりそうな部分も結構あるし、何より入手困難状態みたいなので、この際ちょっと時間をかけて特に重要と思われる箇所を抜き出して注釈をつけて……いたら今年の最後を飾るにふさわしいでかいエントリになってしまった。ではどうぞ。

2007年ブログネタ在庫一掃セール「本」編

 今年読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、紹介タイミングがないままの本をまとめて一挙紹介。★は1-5個でオススメ度を表す。人に薦める価値もないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。十分おすすめである。

 1900年の人間は2000年の世界をどのように想像したか。★★★

彼らが夢見た2000年
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アンドリュー ワット 長山 靖生 Andrew Watt
新潮社 (1999/12)
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 タイトル通り。★★

見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提言
大路 直哉
三五館 (1998/10)
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 ミリオタならずとも一度は。ちなみに私もミリオタの気はない。★★

戦争の科学―古代投石器からハイテク・軍事革命にいたる兵器と戦争の歴史
アーネスト・ヴォルクマン 茂木 健
主婦の友社 (2003/08/09)
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 今なら『種の起源』そのものを読むよりこっちの方がいい。★★★★

新版・図説 種の起源
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チャールズ ダーウィン リャード リーキー Charles Darwin Richard Leakey 吉岡 晶子
東京書籍 (1997/11)
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 これも図版多めでよい。★★★

「進化」大全
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カール・ジンマー 渡辺 政隆
光文社 (2004/11/22)
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 脳のなかのワンダーランドと同じ著者。科学の最先端からちょっと本筋から外れ気味のところまで。★★

天に梯子を架ける方法―科学奇想物語
ジェイ イングラム Jay Ingram 中村 和幸
紀伊國屋書店 (2000/04)
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 なぜか一度も言及したことがなかったので。とっくにしててもおかしくない話なのに、なんでだろう? ★★★★★

「知」の欺瞞―ポストモダン思想における科学の濫用
アラン・ソーカル ジャン・ブリクモン 田崎 晴明 大野 克嗣 堀 茂樹
岩波書店 (2000/05)
売り上げランキング: 21388

 約十年前。一昔を感じるが面白い。これがどうしてただのダイエッターになってしまったんだか。★★

マジメな話―岡田斗司夫 世紀末・対談
岡田 斗司夫
アスキー (1998/03)
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 ここで知った。でも1981年の本。さすがにちょっと時代が……。子供のときに読みたかったかな。★★

理科系の文学誌
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荒俣 宏
工作舎 (1981/01)
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 田中さん。★

生涯最高の失敗 (朝日選書)
田中 耕一
朝日新聞社 (2003/09/09)
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 古典。★★★★

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
ダニエル キイス Daniel Keyes 小尾 芙佐
早川書房 (1999/10)
売り上げランキング: 3226

 これもある意味古典。★★★★

星を継ぐもの
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ジェイムズ・P・ホーガン 池 央耿
東京創元社 (1980/05)
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 広義のマインドコントロール術。攻めるにも護るにも。★★★★★

影響力の武器[第二版]
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ロバート・B・チャルディーニ 社会行動研究会
誠信書房 (2007/09/14)
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おまけ

 そういえば思い出に残るぐらいやったシューティングってこれぐらいだな。

ミシガンのネズミ

神と科学は共存できるか?

 『神と科学は共存できるか? 』と『神は妄想である』の話も書きたいのだけどまだ書けてない。本全体の主題とは関係なく、この「ミシガンのネズミ」という言葉は、これまでネット上の論争などを見ていてたまに言いたいと思っていた概念を簡潔に言い表す言葉として使えそうだからメモっておく。

 広範な一般化はつねに、その境界に例外や「しかしながら」という微妙な領域を――主要な問題点の説得力を無効にすることなく、また傷つけることさえなく――含むものである(私の仕事である自然史ではこの現象を、誰かが一般的な進化原理について主張すると、必ず部屋の後ろから甲高い声で異議を唱える分類の細部の専門家に敬意を表して、「ミシガン産のネズミ」とよく呼んでいる――「なるほど……しかし、ミシガンにはこんなネズミがいて……」)。

 専門家の間では、例外や「しかしながら」に注意が向くことは適切である。例外や「しかしながら」は、学問を刺激して最高水準にまで高める興味深い細部なのだから。(たとえば、進化理論の私の同僚たちはいま、ある限定された程度のラマルク的な進化がバクテリアの一定の現象においては起こっているのかどうかをめぐって、極めて健全な論争に関わっている。しかしながら、この問題がどれほど魅力的で強烈であっても、進化の事柄の一般的な成り行きではダーウィン的なプロセスが支配的だという、証拠がよくそろった結論に変更をもたらすものではない)。しかし、専門家が境界におけるぐちゃぐちゃしたことに強い注目を適切に向けることが、中心的な原理への同等に有効な広いスケールの注目に異議を唱えたり、それを脱線させたりするものであってはならない。

おまけ

 ネズミ繋がり。なんで消されないんだろうこれ。

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